期間限定のテキスタイルジャパンのECサイトができた経緯

日々の生活に欠かすことのできない服。その素材となるのが織物や編物です。これらは日本の東西南北各地に広がる、さまざまな背景を持った産地から生まれます。そして、その風土や地域文化の違いから生まれた特徴の幅広さこそが、日本のテキスタイル産業の面白いところ。株式会社糸編は、そういった各産地の工場を巡り、たんまりと取材させていただいた魅力を、ウェブや書籍、展示会など各チャンネルで発信してきました。「産地の学校」という学びの場や、産地ツアーなどの開催も行ってきました。

「TEXTILE JAPAN」というプロジェクトの主な活動は、日本全国の選りすぐりのテキスタイルをデザイナーさん向けに紹介する展示会を開催したり、ウェブライブラリーとしてインスタグラムでテキスタイルの紹介をしたり、ときには、日本のテキスタイルを求める海外のデザイナーへ輸出なんかもしてきました。

このように、どうしても業界内での活動が多くなるテキスタイルのお仕事ですが、今回の青山スパイラルでのイベント「SPINNER MARKT」出店にあたり、より多くの人に産地の特徴が色濃く表れた生地に触れていただきたい想いで、各地から集めてきました。その数おおよそ60種類。なかなか市場に出てこないラインナップをご用意できたと思います。というのも、今回多くを占めるのが「開発反」と呼ばれる生地。つまり、産地の工場の方々が頭と感性を捻らせてつくった試作で、量生はされずに工場の中で眠っていたものなんです。生地によっては、数十年前に作られたデッドストックなんてものも。または染色の色ぶれにより、僕からすると美しいんだけどB品として工場に眠っていた素材もありました。改めて、ご協力してくださった産地の皆さんに心より感謝申し上げます。新型コロナウイルスの状況も考慮しまして、「SPINNER MARKT」のイベントに合わせ、期間限定で通販サイトも開設させていただきました。このような形で生地の販売をさせていただくのは滅多にないと思いますので、この機会にぜひ楽しんでいただけたら嬉しいです。